慢性甲状腺炎は更年期とどう違う?疲れやすい女性の治療と注意点

慢性甲状腺炎は更年期とどう違う?疲れやすい女性の治療と注意点

「寝ても寝ても疲れがとれない」「最近、体が冷えやすくなった」「なんとなく気力がわかない……」こうした日々の体調不良を、「年齢のせい」や「ただの寝不足」と諦めていませんか?

実は、その長引く不調の裏には、のど元にある小さな臓器「甲状腺(こうじょうせん)」の病気が隠れていることがあります。特に女性に多く見られるのが、「慢性甲状腺炎(まんせいきょうじょうせんえん)」(別名:橋本病)という疾患です。

当院(クリニックテルミナ)でも多くの患者様がご相談に来られるこの病気について、代表的な症状である「疲れやすさ」をはじめ、原因や診断方法、治療法まで専門医が分かりやすく解説します。

⚠️ 体調不良が長引いている方へ

「疲れやすい」「だるい」といった症状は、単なるストレスやうつ病、更年期障害と間違われやすく、適切な血液検査を行わないと見過ごされてしまうケースが多々あります。

「いつもと違う不調が数週間以上続いている」と感じる場合は、自己判断せず、一度医師へご相談ください。


1. 慢性甲状腺炎(橋本病)とは?

慢性甲状腺炎とは、のどぼとけの下にある甲状腺に慢性的な炎症が引き起こされる自己免疫疾患です。発見した日本の医師の名前から「橋本病(はしもとびょう)」とも呼ばれています。

本来は外敵から体を守るための免疫システムが、何らかの原因で自分の甲状腺を誤って攻撃してしまうことで炎症が生じます。炎症が長引いて進行すると、甲状腺が徐々に破壊され、体に不可欠な「甲状腺ホルモン」の分泌が低下していく(甲状腺機能低下症)を引き起こします。

どのような人がなりやすい?

比較的頻度が高い病気であり、特に30代〜40代の女性に多く、成人女性の「10人に1人」程度の割合で存在すると言われています。男性に比べて女性の割合が圧倒的に高いのが大きな特徴です。


2. 慢性甲状腺炎で見られる代表的な症状

甲状腺ホルモンは「体を元気にする(代謝を活発にする)潤滑油」のような役割を持っています。そのため、慢性甲状腺炎によってホルモンが減少すると、全身の代謝が低下し、以下のような様々な不調が現れます。

① いつも体がだるく、疲れやすい

十分な睡眠をとっても疲労感が抜けず、朝起きるのがつらくなります。全身のエネルギー代謝が低下するため、少し動いただけでも疲れやすい状態になります。

② 体が冷える・寒がりになる

熱を作る代謝の働きが弱まるため、周囲の人よりも寒さを強く感じるようになります。夏場でも冷え性に悩まされる方がいらっしゃいます。

③ 体重増加とむくみ

食事の量は変わっていないのに太りやすくなったり、顔(特にまぶた)や手が不自然にむくんだりします。その他、皮膚のカサつきや便秘、声の枯れなども代表的なサインです。


3. 慢性甲状腺炎の診断と検査方法

慢性甲状腺炎かどうかを調べるために、当院では主に2つのアプローチで検査を行います。


【血液検査】ホルモン値と自己抗体の測定

甲状腺ホルモンや自己抗体を調べるための採血検査を受ける女性

特徴: 血液中の甲状腺ホルモン(FT3、FT4)や、甲状腺を刺激するホルモン(TSH)の量を測定します。

あわせて、甲状腺を誤って攻撃している「自己抗体(抗TPO抗体や抗Tg抗体)」が陽性になっていないかを調べることで、炎症の有無を高い精度で診断できます。


【甲状腺超音波(エコー)検査】

甲状腺の腫れや慢性甲状腺炎を調べるためにエコー検査を行う様子

特徴: 超音波をのどに当てて、甲状腺の大きさや形、炎症による組織の変化(ザラザラ感がないか等)をリアルタイムで画像観察します。

痛みは一切なく、数分で終わる安全な検査です。触診だけでは分からない小さな腫瘍(しこり)が隠れていないかも同時にチェックできます。


4. 治療方法と日常生活のポイント

慢性甲状腺炎と診断されたからといって、すぐに全員がお薬を飲み始めなければいけないわけではありません。治療方針は「甲状腺ホルモンの分泌状態」によって決まります。

ホルモンの状態 主な治療方針・対応
ホルモン量が正常な場合 お薬による治療は不要な場合が多いです。半年に1回〜年に1回程度の定期的な血液検査で様子を観察します。
ホルモン量が低下している場合 不足している甲状腺ホルモンを補うため、内服薬(チラーヂン)を毎日1回服用します。

内服治療の考え方: 不足している分をお薬で外から補います。お薬を正しく飲み続けることで、低下していたホルモンバランスが正常に戻り、悩まされていた「疲れやすさ」や「だるさ」の解消を期待できます。


5. 日常生活における注意点(ヨードの過剰摂取)

慢性甲状腺炎のある方は、日常の食事において「ヨード(ヨウ素)」の摂りすぎに少し注意が必要です。

ヨードは甲状腺ホルモンを作る原材料ですが、過剰に摂取しすぎると、かえって甲状腺の働きが一時的に低下してしまうことがあります。

日本人は日常的に昆布や海苔などの海藻類を多く摂取するため、サプリメント(青汁やマルチミネラルなど)や、昆布だしを毎日のように大量に濃縮して使うことは避けるよう心がけましょう。通常の和食を常識的な範囲で食べる分には全く問題ありません。


6. このような方はお気軽にご相談ください

何ヶ月も「体がだるい」「疲れやすい」状態が抜けない方

冷え性やむくみが以前よりひどくなり、体重が増えやすくなった方

健康診断で「甲状腺の腫れ」を指摘されたことがある方

ご家族(特に母親や姉妹)に橋本病や甲状腺の病気がある方


まとめ:長引く不調を解消し、健やかな毎日へ

今回は、女性に多く見られる「慢性甲状腺炎(橋本病)」について解説しました。大切なポイントをもう一度おさらいしましょう。

代謝が下がる自己免疫疾患: 誤って自分の甲状腺を攻撃してしまい、体を元気に保つホルモンの分泌が弱まってしまう病気です。

「疲れやすさ」が主要サイン: だるさ、寒がり、体重増加、むくみなどの症状は、甲状腺ホルモン不足が原因の可能性があります。

痛みのない検査で診断可能: 血液検査と甲状腺超音波(エコー)検査を組み合わせることで、体に負担なくスムーズに調べられます。

正しいコントロールで元気に: ホルモンが低下している場合は、お薬で補うことで本来の健康で活発な毎日を取り戻すことができます。

甲状腺の不調は、一見すると「ただの疲労蓄積」や「更年期のせい」だと思い込んで見過ごされがちです。

名古屋市中村区にあるクリニックテルミナでは、患者様一人ひとりの症状に丁寧に耳を傾け、血液検査やエコー検査を通じて適切な診断とサポートを行っております。

「もしかして……」と気になる症状がございましたら、ぜひお気軽に当院までご相談ください。


👤 記事作成・監修:クリニックテルミナ 医師

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